ご縁があって、都内のお屋敷の庭の手入れに7年ほど関わっています。
昔の日本の庭は、圧倒的に常緑樹が中心でした。
武家の庭づくりで発展してきた一面もあり、年じゅう青々とした常緑樹は繁栄の象徴としても好まれたようです。
門にかぶるクロマツとイヌマキ
昔は「庭木の王」ともいわれたモッコクと、仕立てもののダイスギ
モッコク同様、三代庭木のひとつ、モチノキ
モチノキとスダジイの緑濃い樹冠
サワラ、トウネズミモチ、シイ、モッコクと常緑を並べた中に落葉のヤナギが一本
オオムラサキツツジ、サカキ、シイと続く常緑の流れの中にシモクレン
イロハモミジも、この庭では脇役のよう
三代庭木(モッコク、モチノキ、モクセイ)、江戸五木(モッコク、アカマツ、イトヒバ(サワラの変種)、カヤ、イヌマキ)とも呼ばれて昔から重視された造園木たち。
威風堂々とした風格がある風景で、常緑の庭もいいなあと感じながら今年最後の現場を後にしてきましたが、放っておくと生い茂りすぎて毎年の大々的な手入れが欠かせないのが難点ではあります。
マツをはじめ手入れの難しさと、高所作業でもあり、造園屋に管理を頼むのが必須の庭。
この庭でも、年間相応の予算をかけていただいてます。
上述の木々は、イロハモミジ以外は「つむじ」では見られない、私の庭づくりではほとんど出番のない木です。
昔、ランドスケープデザイナーとして植栽計画をしていた頃には登場させたこともありますが、近年の個人住宅の仕事では季節ごとに変化する落葉樹の美しさに加えて、管理のしやすさ、親しみやすさを優先させて、大高木になる常緑樹は積極的に提案しない庭が私の主流になってきました。
もちろん落葉樹も手入れは必要ですが、風格品格が重視されがちな常緑樹と比べて、落葉の雑木類は雰囲気重視でやや気軽に剪定できる違いがあるかもしれません。
四季の変化を象徴する落葉の中高木を中心にして、冬枯れの庭の足元の寂しさを補うために常緑低木、下草と石を加えるようにしています。
このお屋敷の庭にある後述の常緑中低木は、私の庭づくりでも出番の多い木々でした。
シャクナゲ
ヒサカキとサツキ
ソヨゴとクチナシ
サザンカ
ヤツデ
マンリョウ
この他、
クスノキ、キンモクセイ、チャボヒバ、ツバキ、カクレミノ、キャラ、キョウチクトウ、ナンテン、ハマヒサカキ、といった常緑が見られます。
落葉は、ウメ、サルスベリ、ザクロ、ユスラウメ、ロウバイが1本づつ程度。
9割ぐらいが常緑の、都心のお屋敷の庭。
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KOBAYASHI KENJI ATELIER
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